愛する猫の病気を防ぐ予防接種の費用や9個の注意点を解説




愛猫の予防接種は必ず受けよう

犬に予防接種を受けさせるのは聞いたことがあるけれど、猫にも予防接種って必要なの?と思っている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
しかし、猫にとっても予防接種はさまざまなメリットをもたらしてくれます。

そこで、まず予防接種の効果を知る前に、予防接種に適した時期やかかる費用などの基本的な情報を身につけてみましょう。

予防接種を受ける前にする事

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予防接種をするときは、猫の健康状態にも気を配ることも大切です。
人間と同じように、猫の予防接種も体の中に病原体を入れて、抗体を作らなければなりません。

そのため、飼い猫が健康ではないと予防接種後に体調が悪くなってしまったり、副作用が出やすくなったりしてしまいます。
また、他の病気で治療中の子は、獣医さんに予防接種を受けさせてもよいか相談をしましょう。

抗生剤などを打ってもらったときは同時に予防接種はできないことが多いので、また日を改めることも大切です。

ワクチンを打たないとどうなるの?

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「猫にワクチンなんて過保護すぎるのでは?」と思っている飼い主さんもいるかと思います。
しかし、ワクチンを接種することで防げる感染症はたくさんあるのです。

特に生後間もない子猫は、体がまだしっかりと作られていないためウイルスにもかかりやすいものですよね。

そんなときにワクチンをきちんと接種していなければ、病気をこじらせて重症化させてしまうことがあります。

また、感染症だけでなく、伝染病を防げるのもワクチンの大きなメリットです。
伝染病の中にはワクチンでしか防げない病気も存在しているため、接種をしていないと命を落としてしまう危険性もあります。

ワクチンは飼い猫を健康に育てていくために大切なものなので、完全室内飼いの飼い猫にも受けさせるようにしましょうね。

予防接種をする時期はいつから

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予防接種を受けさせる時期は、飼い猫が母猫の初乳を飲んでいるかどうかで変わってきます。
子猫は母猫のお乳から、体を守ってくれる免疫(抗体)をもらいますが、生後すぐに母猫と離れてしまった子は初乳を飲んでいないことが多いので免疫がありません。

こうした子は体も弱く、ウイルスや病気などにもかかりやすいのが特徴です。
そのため、母猫の初乳を飲んでいない子の場合は、生後1ヶ月が経ったら1回目の予防接種を受けさせましょう。

対して、母猫の初乳を飲んでいる子の場合は、もらった免疫の効果が生後2~3ヶ月頃になくなってくるので、生後2ヶ月目に1回目の予防接種を受けさせるのがポイントです。

しかし、生後間もない猫を拾ったときは母猫の初乳を飲んでいるか分からないという場合も多いと思います。
そんなときは用心も兼ねて、生後1ヶ月頃に1回目の予防接種を受けさせましょう。

また、成猫の場合は子猫と違って、健康な状態であればいつでもワクチンが受けられます。
愛猫の体調をこまめにチェックしながら日にちを決めていきましょう。

2回目、3回目の予防接種ってあるの?

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初めて予防接種を受けさせるときは、追加のワクチンも必要になります。
この場合も母猫の初乳を飲んでいるかどうかで、打つ時期と回数が変わってくるのがポイントです。

母猫の初乳を飲んでいない場合は、1回目の予防接種をしてから1ヶ月後に追加のワクチンを接種させましょう。
そして、2回目の予防接種が終わった1ヶ月後には、さらに追加のワクチンを受けさせます。

対して、母猫の初乳を飲んでいる場合は生後2ヶ月目に1回目のワクチンを接種したら、次は生後3ヶ月目に2回目のワクチン接種をすればOKです。

また、初めての予防接種が終わったら、翌年からは年に1回か3年に1回接種させればよいとされています。

日本では1年に1回のワクチン接種を勧めている獣医さんが多いものですが、アメリカでは3年に1回のワクチン接種で十分といわれることもあります。

そのため、翌年以降の予防接種は獣医さんと話し合い、納得したうえで期間を置きましょうね。

予防接種の種類は?

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猫の予防接種は「3種混合」、「猫白血病」、「4種混合」、「5種混合」、「7種混合」の5種類があり、それぞれの予防接種では防げる病気も違ってきます。

7種混合ワクチンは多くの病気を防げるので、飼い主さんからしてみれば、とても魅力的に思えるのではないでしょうか。

しかし、完全室内飼いでお外に出ていく機会がない猫の場合は3種混合ワクチンで十分だといわれています。

3種混合ワクチンは子猫がかかりやすい「猫ウイルス性鼻気管炎」や「猫カリシウイルス感染症」(※病気の詳しい症状はのちほどご紹介いたします)への対策ができるのが特徴です。

対して、お外の世界も思いっきり楽しませてあげたいという場合は、5種混合ワクチンを選ぶとよいでしょう。

5種混合であれば、3種混合では防げない「クラミジア感染症」や「猫白血病ウイルス感染症」も予防することができます。

また、猫カリシウイルスは厳密に言うと3パターンに分けられるのですが、3種混合では1パターンにしか効果がありません。

けれど、7種混合ワクチンであればすべてのタイプを予防できるので、気になる方は獣医さんに相談してみるのもいいでしょう。

ちなみに猫白血病のワクチンは、生後1.5ヶ月未満の子猫には接種できません。
免疫機能が未熟な子猫には、猫白血病のワクチンを接種させるよりも、まずは混合ワクチンを受けさせるようにしましょう。

予防接種の費用

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予防接種の費用は病院によって差があり、種類によっても値段が変わってきます。
例えば、3種混合の場合、大体の相場は3,000円~4,000ほどです。

それに対して、防げる病気の多い5種混合ワクチンは6,000円~7,500円程度が相場となっています。

また、3パターン全ての猫カリシウイルスが防げる7種混合ワクチンは8,000円程度が相場です。

ちなみに、予防接種でかかった費用はペット保険では請求できないことがほとんどなので注意しましょう。

予約を入れておくと猫のストレスを減らせる

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飼い猫に予防接種を受けさせたいときは、いきなり病院に足を運ぶよりも事前に予約をしておいた方がよいでしょう。
猫は環境の変化にとても敏感な動物です。

いきなり病院という知らない場所に連れてこられると、強いストレスを感じてしまう子も少なくありません。

さらに、キャリーバッグの中は身動きが取りづらいため、狭い場所が好きな猫でも長時間閉じ込められていると嫌な気持ちになってしまいます。

事前に予約をいれておけば待ち時間が少なくて済むため、飼い猫に与えるストレスを減らすことができるのです。
また、予防接種を行うときは一緒に健康診断をしてもらうのもよいでしょう。

予防接種のための年に1回の病院通いを定期健診の日としても活用すれば、愛猫の体調の変化にもいち早く気づくことができるはずです。

予防接種後の体調変化&過ごし方にも注意

無事に予防接種を受け終わると、飼い主さんもほっと一息つけるかと思います。
しかし、予防接種後に飼い猫が便秘や下痢になったり、ぐったりしている場合は注意が必要です。
さらに接種後は、過ごし方にも気を配ってあげることも大切になってきます。

ぐったりしている

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予防接種後は飼い猫の元気がいつもよりないと感じることがありますが、それは体の中に病原体を入れているという理由があるので、心配はしなくても大丈夫です。
翌日から元気に動きまっているようであれば、問題はないといえるでしょう。

しかし、まれに翌日になっても飼い猫がぐったりしているというケースもあります。
そんなときは副作用が強く出ている恐れがあるので、念のため病院に連れて行くようにしましょう。

また、その際はただぐったりしているだけなのか、発熱がみられるのかも併せてチェックしておくのもおすすめです。
猫は熱があると耳の先端が熱くなるので、手で触って確かめてみましょう。

嘔吐をする

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ワクチンに含まれる病原体のせいで、予防接種後は嘔吐をする子もいます。
これも予防接種で見られる副作用のひとつなので、翌日になって治まっているようであれば心配はいりません。

ただし、この場合も24時間経っても嘔吐が治まらないというときは、病院で診てもらうようにしましょう。

嘔吐が繰り返されると、猫は食欲がなくなり、水も口にしなくなります。
こうなると、脱水症状によって命が危険になる場合も少なくありません。

特に子猫の場合は体がまだ出来上がっていないということもあり、激しい嘔吐で体力を消耗してしまうことも多いので気を付けてあげましょう。

便秘や下痢になる

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予防接種後には副作用の影響で、便秘や下痢になってしまう子もいます。
この場合も翌日から便秘が改善されたり、下痢がだんだんと治ったりしてくるようであれば心配はないといえるでしょう。

しかし、便秘や下痢が長期間続くときは注意が必要です。
健康な猫の便はミルクチョコレート色で、押したときに少し形が変わる程度の柔らかさだとされています。

そうした便が出ないということは、体の中でなんらかの異常が起こっているサインでもあるので、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

便秘の場合はまったくでない日が2日続いただけでも、とても危険です。
様子を見ている間は、猫のお腹に「の」の字を描きながらマッサージをしてあげるのもよいでしょう。

また、下痢がカレーのようなドロっとした水下痢である場合は要注意です。
脱水症状を引き起こしてしまう可能性も高くなるので、すぐに病院で原因を突き止めてもらいましょう。

運動は控える

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人間と同じで、猫にも予防接種後は安静に過ごさせるのがおすすめです。
いつものように活発に動き回ると、体調を崩してしまう可能性が高くなります。

激しい運動をさせすぎると、発熱などといった症状がみられることもあるので、接種後2~3日は安静に過ごさせるようにしましょう。

ただし、子猫の中には接種後もケロっとして動き回りたがる子もいるかと思います。
そうした子を無理やりケージの中で安静にさせようとしてしまうと、逆にストレスが溜まってしまうので、猫が満足できる程度は遊ばせてあげるのもよいでしょう。

ただし、その場合はねこじゃらしなどを使って飼い主さんが猫の狩猟本能をくすぐりすぎないことも大切です。

餌はあげていいの?

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予防接種後は猫が欲しがるようであれば、いつもと変わらずご飯を与えても大丈夫です。
食欲があるということは、副作用が出ていない証拠だともいえるので安心してもよいでしょう。

また、去勢や避妊手術と違って、予防接種を受けるときは前日もいつもと同じようにご飯をあげてOKです。
食事後は猫が嘔吐をしないかということもチェックしながら、様子をこまめに観察しましょう。

食欲がないときは?

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副作用でぐったりとしていたり、発熱がみられたりするときは飼い猫に食欲がないことも多いものです。

そんなとき、食べないからといって無理やり食べさせると、猫の体に余計な負担をかけてしまうので避けるようにしましょう。

副作用の影響で食欲不振になってしまっている子は、翌日になればいつもと同じようにご飯をたべてくれることも少なくありません。
ですから、飼い猫のペースに任せて食欲不振を見守ってみることも大切です。

ただし、翌日になってもごはんを食べない場合は副作用以外に原因がある可能性も考えられるので、病院で相談をしましょう。

特に子猫の場合は「いつか食べるだろう」と思って放置をしておくと、そのまま命を落としてしまうケースもあるため注意が必要です。

注射をした場所が腫れる

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予防接種の副作用として、中にはまれに注射をした場所が腫れてくる子もいます。
こうした症状は「炎症性肉芽腫」と呼ばれ、注射をした場所に腫瘍ができるのが特徴です。

炎症性肉芽腫は8歳程度で発症しやすく、犬よりも猫に見られやすいとされています。
そして、混合ワクチンよりも狂犬病や猫白血病に効果があるワクチンを接種したときに発症することが多いそうです。

原因としては、同じ場所に注射をすることでなりやすいとされていますが、まだまだ謎の多い病気でもあります。
そして、腫瘍が悪性の場合は対処も難しいのが、この病気の厄介なところです。

予防接種は背中にされることが多いため、腫瘍が悪性の場合は手術で取り除くのが難しいとされています。

そして、シニア猫が発症しやすい病気なので、手術に耐えられるだけの体力がないというのも治療を難しくしている原因だといえるでしょう。

もしも、飼い猫が予防接種を受けてから2~3週間経っても腫れが引かないという場合は、手で腫れている部分を触ってみるのもひとつの方法です。

手で触れるほどのしこりを感じた場合は炎症性肉芽腫である可能性が高いので、すぐに病院で診てもらいましょう。

また、予防法としては注射をするときに毎回同じ場所に打たないということも大切だといわれています。

アレルギー反応を引き起こす場合も

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予防接種後はすぐに帰宅せずに、20~30分ほど病院の近くにいることも大切です。
猫の中にはまれに、予防接種によってアナフィラキシーショックというアレルギー反応を引き起こしてしまう子がいます。

アナフィラキシーショックとは、過剰なアレルギー反応によって引き起こされる症状のことです。
症状としては接種後に、呼吸困難、嘔吐、痙攣などが見られます。

そして、時間が経つと、じんましんが見られたり、顔がむくんで腫れたりしてくることも少なくありません。
血圧も低下してくるため、早期に治療をしないとショック死をしてしまう危険性もあるのです。

アナフィラキシーショックは早期治療が大切だからこそ、特に初めてのワクチン接種後は必ず病院の近くで愛猫の様子を気にかけるようにしましょう。

また、1度でもアナフィラキシーショックを起こすと、次から同じメーカーのワクチンは使えなくなります。

そのため、飼い主さんはどのワクチンを使ってアナフィラキシーショックの症状が出たのかをきちんと確認するように心がけましょう。

接種後2~3週間は外に出さないように注意

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予防接種はすぐに効果が表れるものではありません。
しっかりと体を守ってくれるようになるまでには、2~3週間程度かかります。

そのため、予防接種をしたからといって、すぐに外へ連れ出さないようにしましょう。
できれば、接種してから20日くらいは外に連れ出さないのがおすすめです。

また、接種後1週間以内にシャンプーや激しい運動などをさせるのも避けましょう。
接種後に副作用などが見られないと、つい心に余裕が生まれてしまう飼い主さんもいるかと思います。

しかし、接種後こそ飼い猫に無理をさせない生活を心がけていくことが大切なのです。

猫の予防接種の効果

予防接種の注意が分かると気になるのが、得られる効果ですよね。
副作用が怖くて慎重になってしまうからこそ、「どんな病気に効果があるのか知りたい」と思う飼い主さんは多いのではないでしょうか。

そこでこれから「猫汎白血球減少症」や「猫カリシウイルス」などの病名を具体的にあげながら、どんな病気を防げるのかを解説していきたいと思います。

猫汎白血球減少症

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猫汎白血病減少症は、パルボウイルスが原因で起こる病気で、別名「猫ジステンバー」や「猫伝染性腸炎」、「猫パルボウイルス感染症」とも呼ばれます。
この病気の怖いところは、とても致死率が高いことです。

体が弱い子猫がかかると、そのうちの9割の子が死に至るともいわれています。
猫汎白血球減少症は感染済みの猫の排泄物に触れることや、同じ食器を使うことで感染するとされていますし、妊娠中に母猫からパルボウイルスをもらってしまうことでも発症します。

また、飼い主さんの服についていたパルボウイルスから感染する子もいるため、完全室内飼いでもかかる可能性がある病気です。

症状としては、2~12日ほどの潜伏期間を経た後に「心筋型」と「腸炎型」に分かれます。
心筋型の場合は心臓の筋肉に炎症が起きて「心筋炎」になり、心不全を起こして突然死してしまうことも多いのです。

対して「腸炎型」の場合はカレーのような水下痢を繰り返したり、黄緑色の嘔吐が見られたりするのがポイントです。
下痢や嘔吐を繰り返すことで、猫は脱水症状になり、命を落としてしまいます。

また、腸炎型は敗血症を起こすことで全身の臓器が機能しなくなり、死んでしまうこともあるのです。

こんな恐ろしい猫汎白血球減症は、3種混合をはじめとするすべての混合ワクチンで予防することができます。

猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)

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猫ウイルス性鼻気管炎は、別名「猫風邪」と呼ばれる病気です。
その名の通り、くしゃみや鼻水、咳といった風邪のような症状が見られますが、結膜炎や気道炎を起こしてしまうこともあります。

また、病気が進行すると肺炎になり、子猫の場合は命を落としてしまうケースもあるのです。
猫ウイルス性鼻気管炎は感染済みの猫と接触することで感染し、妊娠中の母猫がかかると流産や死産をしてしまいます。

猫ウイルス性鼻気管炎にかかっても、体力がある猫の場合は2週間程度で治ることがほとんどです。
しかし、免疫力がない猫の場合は重症化してしまうことも少なくありません。

猫ウイルス性鼻気管炎も、3種混合を含めたすべての混合ワクチンで防ぐことができます。
また、もしかかっても軽く済むことが多いので、飼い主さんも安心して猫を育てることができるはずです。

猫カリシウイルス感染症(FCI)

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猫カリシウイルス感染症は、鼻から喉にかけて炎症が見られたり、口の中に潰瘍ができたりするのが特徴です。

成猫がこの病気にかかっても、目立った症状が現れないことが多いものですが、子猫がかかると命を落とす危険性も少なくありません。

猫カリシウイルス感染症にかかると、食欲不振や発熱などが見られるほかに、口や舌に水泡が現れます。

そして、歯周病でもないのに口臭がきつくなるのも、猫カリシウイルス感染症ならではの特徴だといえるでしょう。

さらに、この病気は治ったように見えても、1度かかるとウイルスが体内に潜んでしまいます。
そのため、体調が悪くなったり、免疫力が落ちたりすると再発してしまう可能性も高いのです。

そんな猫カリシウイルス感染症も他の感染症と同じで、3種混合をはじめとするすべての混合ワクチンで防ぐことができます。

現在、猫カリシウイルス感染症に対して有効な治療薬は開発されていないからこそ、予防をきちんと行いましょう。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

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猫白血病ウイルス感染症は、まだまだ謎の多い病気としても有名です。
感染済みの猫と喧嘩をして噛みつかれたり、感染済みの猫とのグルーミング、同じ食器を使ったりすることで感染しますが、母猫からお腹の中の子猫に感染することもあります。

猫白血病ウイルス感染症にかかっても、すべての猫が白血病を発症するというわけではありません。

中には、一生発症しないキャリア状態のまま寿命を全うしたり、なぜか突然ウイルスが消えたりする子もいるのです。

しかし、猫白血病ウイルス感染症にかかると病気によって、免疫機能が低下していきます。
その結果、他の臓器に影響が出たり、腫瘍ができやすくなったり、口内炎などの病気もかかりやすくなって、感染後は2~5年以内に死亡してしまうことも多いのです。

特に免疫力がない子は、骨髄にウイルスがはいりやすく、悪性リンパ腫を引き起すことも少なくありません。

この猫白血病ウイルス感染症は、猫白血病用の単独ワクチンと4種、5種、7種の混合ワクチンで予防することができます。

お外に行く子は、感染済みの猫と接触する機会も増えるので、こうしたワクチンで感染を防げるようにしましょう。

猫クラミジア感染症

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猫クラミジア感染は目や鼻などに症状が現れる感染症です。
具体的には、べたっとした粘着性のある目やにのある結膜炎が現れ、鼻水やくしゃみも見られます。

重症な場合は肺炎や気管支炎も引き起こされ、抵抗力のない猫の場合は死んでしまうこともあるでしょう。

猫クラミジア感染症も感染済みの猫と接触することで感染する病気です。
そのため、お外に出ていく機会がある子の場合はワクチンであらかじめ予防しておくのがおすすめだといえるでしょう。

猫クラミジア感染症は3種混合や4種混合では予防できませんが、5種、7種といったワクチンなら防ぐことができます。

また、この病気は動物から人に移る可能性もある「人畜共通感染症」でもあるため、飼い猫が感染してしまったときは飼い主さんも注意しましょうね。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)

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猫免疫不全ウイルス感染症は、ネコ科動物のみが感染する病気です。
症状が人間のエイズと似ているため、別名「猫エイズ感染症」と呼ばれることもあります。

この病気も猫白血病ウイルス感染症と同じように、感染したからといって必ずしも発症するわけではありません。
中には、一生目立った症状が見られずに、長生きしてくれる子も多いのです。

この病気は、感染済みの猫からケンカ時に噛まれることで感染することが多いとされています。
そのため、猫同士でグルーミングをした場合は移る危険性が少ないとされていますが、中には隔離して過ごさせなければならないという意見もあるようです。

症状としては慢性の鼻炎や結膜炎、口内炎などがみられます。
また、免疫力が低いので病気がなかなか治らないことも特徴です。
現在日本にはこの病気自体を防ぐワクチンはありません。

アメリカでは「フェロバッグ(FIV)」というワクチンが開発されていますが、全てのタイプのウイルスに対応できず、アナフィラキシー反応が出る危険性もあるため、まだ実験段階といえるようです。

しかし、この病気は猫白血病ウイルス感染症と同時に感染することが多いとされています。
だからこそ、猫白血病ウイルス感染症を予防することは、同時に猫免疫不全ウイルス感染症を防ぐ方法にもなるといえるでしょう。

予防接種って大切なの?

防げる病気が分かっても、副作用が怖くてなかなか接種させる気になれない方もいるのではないでしょうか。

しかし、予防接種を受けさせることは他の猫への感染源を押さえられるというメリットがあったり、結果的に治療費を安く済ませられたりもします。

では、どうして飼い猫に予防接種を受けさせなければならないのかを具体的に学んでいきましょう。

他の猫への感染源を抑える

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感染症や伝染病などの病気は、1匹でも感染済みの子がいると、瞬く間に他の子にも病気が広がっていってしまいます

そのため、多頭飼い生活を楽しんでいる方は、他の猫への感染を抑えるためにも予防接種を受けさせるようにしましょう。

完全室内飼いの場合は、外に出さないから接種させなくてもいいと考えてしまうかと思います。
しかし、母猫から病気を受け継いでいた子が1匹でもいれば、他の子に病気を移してしまう危険性があるのです。

また、猫クラミジア感染症のように、猫同士だけでなく猫から人に移る病気もあります。
小さなお子さんなどの抵抗力のない家族がいるおうちは特に、自分の身を守るという意味も込めて飼い猫に予防接種を受けさせましょう。

感染症になってしまった場合治療費がかさむ

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予防接種を受けさせることを迷っている方の中には、ワクチン代が高いと感じている方もいるかと思います。

けれど、感染症になってしまったときの治療費を考えれば、ワクチン代として出ていく数千円はとても安いものです。

感染症の中には、なかなか目立った症状が見られず、早期発見が難しい病気もあります。
猫はただでさえ、自分の病気を知られないように隠す動物です。
だからこそ、飼い主さんが気づいたときには重症化していたというケースも少なくありません。

病気は症状が進行すればするほど治療費もかかっていくものなので、目先の数千円を高いと思わずに大切な予防策として投資することも大切です。

大きな病気になったときに役立つ

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予防接種を受けさせていれば、大きな病気にかかったときでも症状が出なかったり、軽く済んだりするケースが多いのです。
例えば、致死率が高い猫汎白血球減少症にかかっても、安心して治療を見届けることができます。

大きな病気にかかる可能性はどの猫にもあるので、予防接種を受けさせることで命を守ってあげましょう。

予防接種はいざというときの保険になってくれるので、飼い猫に少しでも長生きをしてほしいと思っている方はぜひ検討してみてくださいね。

狂犬病からも守れる

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狂犬病というと、なんとなく猫は関係なさそうに思えますよね。
しかし、狂犬病は動物だけでなく、人間にも感染する病気です。

現在日本で狂犬病は発症していませんが、アメリカや中国ではまだまだ発症例も多いといわれています。
狂犬病は感染済みの動物から噛まれることで発症するので、海外に行くときは注意が必要です。

猫が狂犬病になると、初めは気分が沈んでうつ状態になります。
そして、病気が進行すると攻撃的な態度を見せるようになり、食べ物を飲みこめなくなるのが特徴です。

狂犬病にかかると1週間~10日以内に100%の確率で死に至るといわれています。
猫は犬とは違ってリードをつけないため、自由に歩き回れるものです。

そのため、狂犬病が発症している海外ではかかる可能性や広めてしまう危険性が高いので、あらかじめ予防接種を受けさせるようにしましょう。

愛猫の為にしっかりと予防接種をする事が大切

犬に予防接種を受けさせるのが一般的になっているように、猫に予防接種をさせることも当たり前になっていけば、命を落とす猫も減っていくはずです。

特に抵抗力の弱い猫や免疫力のない猫を守るためには、飼い主さんが年に1回の予防接種と健康診断を徹底させてあげることが大切になります。

ぜひこれを機に、予防接種を受けさせた時のメリットやデメリットを正しく理解して、健康を守っていきましょうね。










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