猫の甲状腺機能亢進症とは?予防法がない恐ろしい病気だった!




あなたは猫の、甲状腺機能亢進症という病気を聞いた事はありますか?実はこの病気は少し昔まではとても珍しい病気だったのですが、現代では10匹に1匹が引き起こしてしまう病気だったんです。

しかも予防法がないと言われている恐ろしい病気で、病気に気づかずに症状が進行してしまい愛猫の命に関わる事もあります。今回はそんな予防する方法がない恐ろしい病気の猫の甲状腺機能亢進症について、愛猫の為にも症状や治療法など徹底的にお伝えしていきたいと思います。

猫の甲状腺機能亢進症とは?

猫の甲状腺機能亢進症とは一体どんな病気かというと、簡単に言えば首の付け根の左右に2つある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが、必要以上に分泌されてしまう病気なんです。

言葉で表しただけでは恐ろしい病気とは信じにくいと思いますが、甲状腺ホルモンはそれだけ体に大切な役目を果たしている機能なのです。こちらでは猫の甲状腺機能亢進症とは一体どのようなものなのか、いまいち分からないあなたの為に、下記により詳しく解説していきたいと思います。

甲状腺ホルモンの分泌量が多くなる

甲状腺ホルモンは、体全体の新陳代謝と大きく関係しており、体の体温を一定に保つ機能があります。甲状腺機能亢進症はその甲状腺ホルモンの分泌量が多くなってしまい、新陳代謝が非常に活発になり、心臓への負担がかなりかかってしまうんです。

また心臓だけでなく、甲状腺に腫瘍ができるので、その腫瘍が良性のもあれば、稀に癌になってしまう悪性のものもあるんです。そして内臓も活発になり過ぎて、早期に機能が低下してしまい、様々な病気の合併症を起こすこともあると言われています。

老猫に多い病気

甲状腺機能亢進症は成猫よりも、8歳から10歳以上の老猫に多い病気何です。その原因は定かにされておらず、オスとメスのどちらの猫もかかってしまう可能性があります。

8歳以下の若い成猫はあまり心配しなくても良いですが、この病期を発症する平均年齢は13歳程度と言われているので、その位の年齢の猫を飼っているあなたは、日々の様子をきちんと観察して、早期発見に繋げる事が大切だと思います。

自然治癒する事はできない

猫風邪などといった病気は自然治癒する事も出来ますが、甲状腺機能亢進症は体の全身に様々な症状があらわれてきて、自然治癒する事が出来ない病気なんです。その症状はゆっくりと進行していき、猫の体を徐々に弱らせていくんです。

治療をしないと命に関わる病気

また甲状腺機能亢進症の事を、何も知らずに適切な治療を行わないで、そのまま放っておくと大切な命を失う可能性もあるんです。それほど恐ろしい病気で、治療をしていなかった事が原因で、命を落とした子も私は知っています。

ですが、自然治癒できないからといっても、早期発見、早期治療を行えば、完治に近い状態までする事が出来るので、諦めないことが大切です。

遺伝や毛種も関係している

はっきりとした原因を解明されていない甲状腺機能亢進症ですが、その原因は遺伝や毛種も関係していると考えられています。様々な猫種がいる中でも、バーミーズやシャム猫などはたとえ老猫になったしても、発症率は比較的に低いというデータがある事から、何らかの遺伝性の関わりがあると言われているんです。

また毛種によっての色や長さも関係しており、毛に含まれるメラニン色素作り出すのに必要なチロシンが、甲状腺ホルモンの原料でもある事から、何らかの関係を持っていると推測されています。

猫が元気に見える特徴もある

甲状腺機能亢進症は、猫が元気に見える特徴もあります。普通の病気であったら、元気がなくなったりしますが、過剰なエネルギー分泌を繰り返すため活発になるんです。

普通は病気と思えないくらいに元気になので、どちらかというと「老猫なのに元気なんだ」としか思われることが多い病気なんです。その為、病気の発見が遅れてしまい、重症化してしまったケースも実際にあるので注意しなければいけないのです。

人間にも同じような病気がある

猫の甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが異常に分泌してしまう病気ですが、実は人間の病気にも同じような症状があらわれてくる病気があるんです。その病気は「バセドー病」と呼ばれており、甲状腺ホルモンが原因で引き起こしてしまうんです。

しかし同じような病気といっても、人間のバセドー病は年齢に関係なく、起こりうる病気なので参考にしておいて下さい。

予防法がない

この病気は、老猫に多いという事しか解明されておらず、症状を和らげる治療はありますが、病気を引き起こさない為の予防法がないんです。予防法がないという事は、飼い主のあなたはどうする事も出来ませんが、早期発見・早期治療さえすれば、今まで通りに生活する事もできるので、日頃の様子を良く観察し、少しでも様子がおかしいと感じられたら、獣医に一度相談することが大切です。

猫の甲状腺機能亢進症の主な症状

猫の甲状腺機能亢進症は上記でもお伝えしてきたように、予防法がない病気なので、早期発見・早期治療を行う為にも、その症状を十分に知っておく必要があります。他の病気であれば、食欲がなくなったり、元気がなくなったりと、分かりやすいのですが、この甲状腺機能亢進症は特殊で、他の病気には現れない症状が見られるんです。

こちらではそんな猫の甲状腺機能亢進症の主な症状について、お伝えしていきますので、8歳を超えた愛猫に下記のどれかの症状が見られた時は、病気にかかっている事を疑い病院に連れて行くことが、飼い主のあなたの重要な役目だと私は思います。

水を沢山飲む

猫の祖先は砂漠で生存していたこともあって、本来猫は水をそこまで飲まなくても良い生き物ですが、甲状腺機能亢進症を引き起こしてしまうと、水を沢山飲む症状が見られてきます。

この水を沢山飲むような症状は、まだ初期症状なので、なんとなく沢山飲むようになったなと感じられたら疑う事が大切です。

おしっこの量が増える

また水を沢山飲む事によって、おしっこの量が増えるといった症状も見られてきます。猫は個体差にもよりますが、1日に平均4回~6回ほどおしっこをしますが、水を沢山飲みだし、それ以上の回数をする場合は甲状腺機能亢進症にかかっている可能性があります。

食欲があるのに痩せていく

甲状腺機能亢進症の主な症状として、食欲があるのに痩せていき、みるみるうちに体重が落ちてきてしまいます。この症状は先ほどお伝えしてきた、人間のバセドー病と同じような症状なんです。

一見活発でよく食べて元気なように思わせる症状ですが、過剰なエネルギー分泌によって代謝が上がり過ぎてしまう為、食べているのに痩せてきてしまうんです。どの位痩せてくるのかというと、その見た目でも分かるほど痩せてきて、筋肉もなくなってしまいます。

涼しい場所を好む

甲状腺機能亢進症を引き起こしてしまうと、体の体温も上がってしまう為、その体温を下げるために涼しい場所を好む傾向があります。普段は太陽のしたなどでお昼寝などをしている猫が、急に日陰や冷たい所にいた場合は注意が必要です。

嘔吐・下痢

過剰なエネルギーを分泌してしまう事によって、内臓も活発になり過ぎて徐々に弱ってくるため、嘔吐や下痢といった症状も現れてきます。下痢や嘔吐などの症状は、他の病気でも見られる事がありますが、食べたものをすぐに吐きだしたり、食べた直後に下痢をした時は、甲状腺機能亢進症にかかっている可能性があります。

行動や性格が変化する

また甲状腺機能亢進症の症状には、行動や性格が変化する事があります。どのように変化するのかというと、「落ち着きがなくなる」「活発になり走りまわる」「攻撃的になる」「鳴き声が大きくなる」などの変化が見られてくるんです。

本当にそんなに変化するのか疑問に感じられると思いますが、実際に私の知っている猫も、今までは穏やかな性格だったのに、攻撃的な性格に変化し、爪で引っかかれた経験があります。猫の性格や行動には個体差がありますがもし、少しでもいつもと違うと思った時は、甲状腺機能亢進症を引き起こしている可能性も十分に考えられます。

呼吸困難や呼吸が早くなる

甲状腺ホルモンが異常に分泌によっておこる事から、呼吸が早くなる症状も引き起こしてしまいます。呼吸が早くなる症状に気をつけておかないと、そこから呼吸困難に陥ってしまう事があるんです。

猫が「フーフー」や「ハァハァ」と呼吸している時は、呼吸が早くなっている症状ですので、呼吸困難にならない為にも注意して見てあげなければいけないのです。

毛に異常が見られる

甲状腺機能亢進症にかかると、猫の毛にも異常が見られてきます。猫の毛に関する以上は、「パサつきが多くなる」「毛のツヤがなくなる」「フケが沢山でる」「抜け毛がおおくなる」などの症状があらわれてきます。

毛の異常は体に寄生虫が寄生する事でも起こりますが、これらの症状が見られた場合は甲状腺ホルモンが過剰に分泌している可能性があります。

爪が伸びやすくなる

甲状腺機能亢進症になると猫の毛にだけ体の変化が現れてくるだけでなく、猫の爪も伸びやすくなってくるんです。猫の爪を切った後に、爪が生えそろうまではおよそ2週間ほどかかりますが、病気を引き起こしている時は1週間もあれば生えそろうと言われているので、参考にしておいて下さい。

甲状腺機能亢進症が疑われる場合の検査方法は?

上記でお伝えした主な症状が見られ、甲状腺機能亢進症が疑われた場合、病院では様々な検査を行います。その理由は甲状腺機能亢進症の似た症状が見られる他の病気もある事から、様々な検査結果を総合的に照らし合わせて診断をするんです。

病院では色々な病気の可能性を考えたうえで、見落とさないように確定診断をしていきます。こちらではそんな甲状腺機能亢進症が疑われる場合、病院で行う検査をどのように行っていくのかについて、紹介していきたいと思います。

病院によっては紹介する検査をせずに、甲状腺機能亢進症ではないと診断する所もありますが、下記の検査方法をすべて行わないと確定できない病気と言われているので、できることならすべての検査をしてくれる病院をお勧めします。

触診

触診は、甲状腺が肥大していないか確かめる検査です。健康体の猫であれば、甲状腺を皮膚から触ることはできないのですが、甲状腺機能亢進症になると首元の甲状腺が大きくなり、触診するだけで分かる事もあります。

聴診

聴診は心臓の音の乱れや、雑音などを確認することができる検査です。甲状腺機能亢進症を引き起こしてしまうと心拍数の乱れも見られてくるので、その症状を確認する為に聴診で検査をします。

体温測定

体温測定は様々な病気でも行いますが、甲状腺機能亢進症を疑われる場合にも体温を確認する為に検査をします。それは甲状腺機能亢進症にかかってしまうと、体の体温が高くなることが多いからなんです。

また重症化してくると、逆に体温が下がる事もあるので、そのどちらも体温を測定して現在の体の状況を確認するんです。

X線診断

X線診断は、甲状腺機能亢進症から起こりうる心臓の肥大や肝臓、腎臓などに異常が見られないか検査をします。甲状腺機能亢進症はこのような内臓器の疾患に似ている場合もあるので、X線診断できちんと確定診断をしないといけないのです。

血液検査

血液検査は甲状腺機能亢進症の確定診断するには、必要不可欠な検査方法です。血液検査は一般的な健康診断でも行われるのですが、血液中の甲状腺ホルモンを測定するためには病院内ではなく、外部の機関で検査を行います。

その為検査結果が出るまで、およそ1週間ほどかかりますので参考にしておいて下さい。また甲状腺機能亢進症の症状が早い段階で血液検査をすると、甲状腺ホルモンのはっきりとした数値が見られず、確定診断されない場合もあります。

それでも飼っている猫が甲状腺機能亢進症にかかっていると疑わしい時には、再検査を受ける事が大切だと私は思います。

猫の甲状腺機能亢進症には治療法はないの?

そんな予防法が恐ろしい病気の、「甲状腺機能亢進症には治療法はないの?」と不安に思うかもしれませんが、甲状腺機能亢進症を引き起こしていると確定した場合には、主に3つの治療法があるんです。

その治療法のそれぞれにメリットとデメリットがあり、進行状況や症状、体力などに合わせてその子に合わせた治療が選択されます。しかし稀にその治療法が体に合わず、命を落とした子も実際に中にはいますので、飼い主のあなたと獣医できちんと相談した方が良いと思います。

これから下記でお伝えする治療法を十分に理解し、納得のいくまで獣医と相談し、治療法を決定していくことが、大切な愛猫の命を守る為にも大切な事なんです。

外科手術

外科手術は甲状腺機能亢進症の原因の元でもある、甲状腺を摘出する治療です。猫の首にある2つの甲状腺のの進行状況にもよりますが、両方の甲状腺を取り除かなければいけない場合もあるんです。

片方の甲状腺を残せるならホルモンは正常に分泌されるのですが、手術によって両方取り除いてしまえば、甲状腺ホルモンを一生涯与え続けなければいけなくなるんです。

また老猫に発症しやすいという事もあって、手術や全身麻酔に耐えられる体力があるのかも重要になってきます。その為、体は耐えられる状態かや、手術後の後遺症なども考え、慎重に検証しないといけないのです。

投薬治療

甲状腺の摘出手術を行わない場合は、甲状腺ホルモンの生合成を抑制する投薬治療を行います。この投薬治療によって、体内のホルモン量が正常に保たれるようになるんです。

しかしそんな投薬治療にもデメリットがあり、副作用が出ることもあるんです。また投薬治療をやめてしまうと正常だったホルモン値が再度高くなってしまい、再発してしまう可能性も高いのです。

ちなみに投薬治療に有効的と言われている薬は、「メリカゾール」と呼ばれるもので、人間のバセドー病にも適用されている薬なんです。

食餌療法

治療の中には、その猫が体の状態から「手術をすることができない」「投薬も難しい」という猫には食餌療法が良いと言われています。食餌療法を続けることによって、甲状腺ホルモンの構成成分を制限する事が出来、ホルモン値をコントロールする事が出来るんです。

その反応率は80%程度あるとされていて、腎不全を抱えている子にも効果があるとされています。しかし、食餌療法にはそんなメリットだけでなく、一生涯同じ食事しか食べられないデメリットと、食餌療法をやめてしまったら間違いなく再発するデメリットあります。

もし食餌療法を考えるのであれば、その事を十分に理解しておくことが最も重要なポイントになってきます。

甲状腺機能亢進症に有効とされるメルカゾールとは?

甲状腺機能亢進症の治療法の投薬治療で紹介したメリカゾールは、甲状腺機能亢進症を引き起こした猫に対して最も多い治療法なんです。様々なデメリットがある治療法の中でもどうしてこの治療法を持ちいれられているのかというと、手術では猫の体力の限界がありますし、食餌療法は食事管理に徹底しないと失敗となってしまうので、初心者には難しいからなんです。

その点、投薬治療で使用するメリカゾールは少量からスタートしていき、2~3週間ごとに検査をしその子に合わせた投薬量で治療を行っていくので、猫だけでなく飼い主の負担が最も低いからなのです。

こちらではそんな投薬治療で使用されるメリカゾールとは一体どのような物なの、効果や費用など徹底的にお伝えしていきますので、これからの治療の参考にしておいて下さい。

体内のホルモン量を正常にする作用がある

メリカゾールを投与する事によって、体内のホルモン量を正常にする作用があります。ホルモン量を正常に保たれる事で、ホルモンの過剰分泌から引き起こされる症状を抑える効果があるんです。

メリカゾールの投与を続けている限り、症状は進行する事はなく、健康な猫と同じくらいの寿命を全うする事も出来ます。しかし病気を確定診断された時に、他の臓器に合併症を起こしてしまっている場合には、寿命も変わってきますので、いずれにせよ早期発見・早期治療が最も重要な事になってきます。

費用は?

そんな甲状腺機能亢進症に、有効とされるメリカゾールの費用も気になるポイントだと思います。メリカゾールの投与は猫の体重にもよりますが、1日当たりに必要とされる量は1mg~10mgなんです。

そんな投与量や病院によっても変わってきますが一般的に、平均とされる費用は1日分で¥100~¥150程度と比較的安価で済むんです。1ヶ月分で表すと、およそ3000円~5000円程度、治療代としてかかってくるので参考にしておいて下さい。

ちなみに病院で処方されるメリカゾールは、錠剤を砕いて粉薬にした物をその子に合わせて処方されることが多いそうです。

副作用が起きる可能性も

また甲状腺機能亢進症に有効とされるメリカゾールでも、副作用が起きる可能性もあるんです。あまり副作用が見られないと言われていますが、長期的な使用や猫の体に合わなかった事で、副作用が起きてしまうと実際に報告されているんです。

そんなメリカゾールの投与で副作用が起きる症状を下記に紹介していきますので、もしこのような症状が見られた場合は一度獣医に相談した方が良いと思います。

  • 嘔吐
  • 食欲激減
  • 貧血
  • 黄疸
  • 痒みや脱毛
  • 出血傾向
  • リンパ球の異常(リンパ球増加症・リンパ球減少症)

などがあります。これらの副作用は服用を中断すれば、症状が改善することがほとんどです。

基本的に一生飲ませなければいけない

しかしメリカゾールを投与したことで、上記でお伝えした症状が現れたからとしても、服用を中断してしまえば、たとえ甲状腺ホルモンの数値が落ち着いていたとしても、再度過剰に分泌してしまう為、基本的に一生持続して飲ませなければいけないのです。

「そんな副作用が現れても飲ませ続けなければいけないの?」と不安に思うかもしれませんが、一度中断してしまえば進行が進んで行き、重症化してしまう可能性があるんです。

もしそれでもメリカゾールの副作用が耐えられない場合には、獣医と一度相談しその子にあった投与量を決めていく事で、改善することも実際にあるので思っている事を獣医にぶつけることも大切だと私は思います。

このように甲状腺機能亢進症に一度なってしまうと、薬は一生涯続けていかなければいけないですが、治療を続けることで健康な猫と同じくらいに日常生活を送ることができ、同じくらいの寿命を全うする事もできるんです。

薬漬けで可哀そうと思ってしまう事もしばしあると思いますが飼い主のあなたが、治療を諦めない事で、甲状腺機能亢進症自体で命を落とす病気ではなくなるんです。もし副作用が可愛そうと思って治療をせずに放っておくと、早くから内臓関係に負担がかかってしまい、その事が原因でなくなってしまったケースも実際にあります。

そうならない為にも、早期発見・早期治療をし、病気の進行をくいとめてあげ、健康な猫と変わらない日常を過ごさせてあげるのが、飼い主のあなたの大切な役目だと思いますよ。










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